教授法
教員生活の多くの時間を高等学校で過ごして来た。教える内容も高度になりそれなりの知識も必要だが多くの面で楽だと思っている。語彙力もありその言葉の意味するところも理解でき、社会的な価値観などもおおよそ共有できる。簡単に言えば話が通じるのである。だから教えている内容が難しくてもお互いに努力していけば必ず接点が見つかる。しかしこれが小学生、或いは未就学の子どもであればそうはいかない。社会通念や価値観を教えるところから始めないと話が噛み合わない。未就学の子や小学生を指導する先生方のご苦労は計り知れない。
自分は高校生に対して教えるだけだと思っていたが、小学生の次男に勉強を教えるようになり色々と苦労しながら良い教授法を模索している。社会や理科も工夫をしなくてはならないし、子どもが主体的に学べる課題を用意しなくてはならない。これが結構大変なのだが、今苦労しているのは算数である。わり算を2週間ほど教えたが時々子どもの理解がそれ以前なのではないかと不安になり、もう一度和差算(足し算、引き算)を最初から学び直すことにした。本当のことをいうと足し算をどのように教えたら良いのか分からない。小さい頃から珠算を習っていた自分にとって、四則演算の式を見た瞬間に頭にあるそろばんの珠が勝手に動き出すのだ。すこし難しい問題でも右手の人差し指と親指を少し動かすと連動して頭のそろばんが元気よく動いてくれる。だから、足し算を教えるということが自分にとっては非常に難しいことなのだ。書籍やネットで調べれば良い教授法があると思うのだが、0から悩まないと気が済まない性格なので色々と試行錯誤している。
和差算はすごろく
今自分が取り組んでいるのは足し算、引き算をすごろくの要領で教えること。昔100玉そろばんや100ます計算なるものがあったがそれがどのようなものなのかは知らない。それを調べればもっと良いアイデアがあると思うのだがそうしていない。
すごろくはスタートからサイコロを振って出た目の数だけ前に進んで行く。途中は曲がりくねった道だがこれをまっすぐにした表を作った。そしてすごろくのように前(表では右)に進んでいく。
例えば 5+3=を計算する場合
①5をさがしてください
②+なら
③3右に進んでください
④とまったところが 5 + 3 = の答えになります
このような感じである。ところが数が大きくなると右に進む距離が長くなるので、この表を10ずつに分けて縦に並べてみる。そして計算する
例えば 5 + 13 = を計算する場合
①5をさがしてください
②+なら
③13右に進んでください
④とまったところが 5 + 13 = の答えになります
という感じである。
更に慣れて来たら
①5をさがしてください
②+なら
③下に1 右に3進みます
④とまったところが 5 + 13 = の答えになります
引き算も同様である
③の部分の十の位が上に進む数、一の位が左に進む数
としていくのである。
この数字の表が頭に残るまで繰り返すことで和差算を教えたらどうだろうと思って実践しているところである。足し算でこれほど悩む時が来るとは思っても見なかった。しかしこういうことを考えていると、自分の高慢な態度や思い上がった考えが示される。何も知らない愚かな人間が少し勉強して行くつかのことが分かるようになった。ただそれだけのことなのだが、昔から何でも知っているかのような気になってしまう。教員時代、自分の態度が生徒たちを傷つけていたのではないかと今更ながら不安になって来た。
イエスは彼らに言われた、「もしあなたがたが盲人であったなら、罪はなかったであろう。しかし、今あなたがたが『見える』と言い張るところに、あなたがたの罪がある。
ヨハネによる福音書9:41
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