全寮制ミッションスクール

全寮制ミッションスクールのお友達事情

本校の生徒がどのような友達関係を築いているのかを少し考えてみたい。どこの学校も友達関係を大切にする雰囲気はあると思うので本校だけが特別だとは思っていない。が、全寮制かつミッションスクールだと若干の違いがあるかもしれない。
まず本校の寮は学習と生活の両方を同じ部屋で行うスタイルであり1部屋3人を基本に生活している。学校によっては学習と生活のスペースが違い友達同士のコミュニケーションを取らなくても成立するスタイルの寮を運営しているところもある。本校の場合は掃除、洗濯を自分でやることは勿論であるが寮会を開いてより良い寮を運営して行くためにどのようなことをすべきなのかを週に1度話し合う。また寮長(生徒)をはじめとする寮役員が毎晩話し合いの時間を持って現在起きている問題をどのように解決すべきかを話し合う。所謂自治寮に近い。また生徒の70%以上がクリスチャンということもあり他者に対する捉え方が少し違う。だいたい同じレベルの学力の生徒が友達になるわけではない。家庭環境が似ている生徒同士がいつも一緒にいるわけでもない。自分には無いものを持っている友達を自然とリスペクトする雰囲気がある。学年で最高位の学力を持っている生徒が、単位取得が危ぶまれる生徒に彼女の相談をしたり経済的に裕福な生徒が着るものにも困るような生徒に将来の進路について相談する様子を見かけることはよくある。お互いを認め合うことが基本にあるので彼らは決して学力や運動能力、家庭の経済力だけで人を判断することはしない。それが本校のお友達事情である。

全寮制ミッションスクールに転校希望者が

毎年何名もの人が他校から転校したいと希望してくる。特に多いのは1年の5、6月。希望に胸を膨らませて入った高校が思っていたのと違い嫌になってしまったり、友達関係や先生との関係に疲れてしまい転校を希望してくる。自分が教頭をしている時には年に平均10以上の問い合わせがあった。その中で実際転校できるのは半分にも満たない。ミッションスクールでクリスチャンが70%以上、しかも寮生活をずっと続けて来た生徒が大半なのでその点が既に高いハードルとなる。また、希望者の中にはスマホやゲームから遠ざけたいから、という理由で転校を希望してくる生徒がいるがそういう人は残念ながら門前払いである。携帯が毎日25分しか使えない、ゲーム禁止、コンビニなどない環境に耐えることは非常に困難だからである。稀に本校の関係する教会の関係者やその紹介、あるいは縁故関係で本校の事情を深く理解している人には受験のチャンスを与えることがある。meguもその一人だった。彼は小学校まで系列校で学び卒業した。寮に入る事に抵抗があり中学校は地元のミッションスクールに通うようになった。その学校は中高一貫校であった。meguは中学を卒業しそのまま系列の高校に進学した。しかし事情があって1年の途中から不登校になった。数ヶ月の不登校期間があったのち2年の1学期に本校の門を叩いて来た。まずは学校を見学してもらい全寮制の学校がどのようなものかを見てもらった。同級生に同じ小学校出身のkaitoがいたので彼に案内役をお願いした。meguはとても引っ込み思案で話しかけただけで顔を赤くしてしまうような生徒だ。本校に来てやっていけるのかはかなり不安だった。が、彼と話しているうちにひとつの言葉が心に刺さった。「自分はこの学校で自分自身を変えたいのです」とそれだけははっきり言っていた。この時のmeguにはかなり心配な要素があったが、彼の将来には可能性を感じたので、系列校出身者という扱いで受験できるか否かを教師会ではかった。色々な意見があげられたが90%以上がmeguに受験の機会を与えることに否定的だった。想定内である。その日の教師会は1度保留にして再度検討する懸案事項にした。その間にmeguの通っていた小学校(系列の小学校)のhitoshi校長先生に推薦状を送ってくれるよう依頼した。そして次の会議でその推薦状を読み上げ、また彼が自分を変えたいという決心を持っているので受験を認めて欲しい、彼の今ではなく将来を見て受け入れと欲しいと教頭としての意見を述べた。多数決の結果はほぼ半々だったが校長判断で受験を認めることになった。meguがうまくいかなかったら責任取れるのか、と私に対する捨て台詞もあったがとにかくmeguに受験のチャンスが与えられたことは喜ばしいことだったので 何を言われても耐える事ができた。

全寮制ミッションスクールに新しいお友達が

不登校の影響もあってか転入試験の結果は芳しくなかった。が、結局彼はギリギリで合格となった。2学期から正式な生徒として本校にやってくる。自分は教頭をしながら2年Bクラスの副担任をしていたがmeguはこのクラスに転入することとなった。教頭として、彼が通っていたミッションスクールと書類のやりとりなどの事務連絡をしていたが先方は厄介払いができてよかった、という雰囲気を随所に出していた。meguが可哀想になった。2学期になってmeguがやって来たが、見学をした時と同じように常にkaitoとだけ一緒にいる。他の生徒が話しかけても恥ずかしいのか無視してしまう。それを誤解する生徒もいたが周りも何とかmeguを受け入れようと頑張った。かなり長い時間が掛かったが徐々にmeguはkaito以外の生徒とも話ができるようになり赤面することも少なくなった。相変わらず女子は苦手なようであったが。そしてmeguが3年生になった時、自分も教頭を外れるように指示されmeguのいる3年Aクラスの担任となった。meguにとってはクラス替えも大きな環境変化なので注視していたが結構楽しくやっている様子だった。ある時、男子だけが教室にいる時に自分もその場にいて彼らの話を聞くとはなしに聞いていたら「megu、お前も好きなんだろ?」という声が耳に入った。そのままにできない会話である。「megu、好きな子がいるのか?」と近くに行って聞いてみると顔を赤くして「いませんよ」と否定した。が、すぐに周りの生徒が好きな事がいることとその子が同じクラスのマドンナであることを教えてくれた。meguが女子を好きになった。あれほど女子から声をかけられることを嫌がっていたmeguが女子を好きになったのだ。交際は認められないが大きな成長である。前の学校で友達不信、教師不信、そして人間不信に陥っていた彼が本校にきて8ヶ月でここまで変化した。本当に大きな成長である。全寮制の友達関係がmeguの心を少しずつ溶かしていったのだろう。とても嬉しかった。

全寮制ミッションスクールの信仰教育事情

生徒は毎日聖書の授業や礼拝などを通して信仰教育を受けているので、本人が決心すればいつでもバプテスマ(洗礼)を受ける事ができる。勿論未成年なので親御さんの承諾をいただかなくてはならないため希望者は担任かチャプレンに申し出ることになっている。また、日常的な信仰教育の他に学期に1度、学校外から牧師先生をお呼びして1週間朝と夜にメッセージをしていただく。本校ではこの特別な1週間を「祈祷週」と呼んでいるが1学期の祈祷週でmeguがバプテスマを受けたいと申し出て来た。勿論とてもうれしいいことなので「親御さんに確認の連絡をしておくね」といって彼の希望をチャプレンにも伝えた。親御さんからも無事に許可が出たので週末にバプテスマを受けることになっていたがその前日金曜日、急にmeguが「やはりやめます」と言ってきた。信仰は強制する事ではないので、とにかく了解したことだけを伝えた。しかし少し気になったので昼食後に彼を呼び出して理由を聞いてみた。「自分はいい加減な人間だしバプテスマを受けた後も同じような生き方しかできない気がする。そうであれば神様に申し訳ないし神様の栄光に傷をつけることになるからやめたい」というのがmeguのバプテスマをやめたい理由だった。福音理解とは逆の理由だ。そういう人をイエスキリストは探し求めていることをmeguに伝えた。そして最後に、今回はバプテスマを受けないことは了解したけど、meguの知らないところで毎晩数名の男子が集まってmeguがバプテスマに導かれるように祈っていたことを伝えた。meguは泣いていた。「泣かなくて大丈夫。meguが1度はバプテスマを真剣に決心したことをイエス様はちゃんとわかっているしいつかまた次のチャンスが与えられるから」と言って祈ってから彼と別れた。meguが更に成長していることを実感した。それから3時間ぐらいして急に電話が掛かってきた。meguからだった。「何度もすみません。やはり明日、バプテスマを受けることにします」と弾んだ声で報告してきた。理由を聞いたら、自分のために祈っている友達が誰なのかはわからないけど彼らの存在が背中を押してくれた、とのこと。本当に嬉しかった。同じクラスのhayatoがかなり動き回りmeguに働きかけてくれていたようだ。翌日はhayatoとmeguは一緒にバプテスマを受けた。

meguは高校に来て本校の良さに気づいたという。この教育を継続したいと系列の大学に進学して看護の道を歩みたいと考え進学した。人間は変われる。meguは友達によって変わったが、聖書によれば本質的な人間の変化は聖霊の神様がなさるという。きっと聖霊の神様が周りの友達を通してmeguの心に働きかけ彼を変えてくださったのだろう。

島全体を巡回して、パポスまで行ったところ、
そこでユダヤ人の魔術師、
バルイエスというにせ預言者に出会った。
彼は地方総督セルギオ・パウロのところに
出入りをしていた。この総督は賢明な人であって、
バルナバとサウロとを招いて、神の言を聞こうとした。

ところが魔術師エルマ彼の名は「魔術師」との意)
は、総督を信仰からそらそうとして、
しきりにふたりの邪魔をした。
サウロ、またの名はパウロ、は
聖霊に満たされ、彼をにらみつけて
言った、
「ああ、あらゆる偽りと邪悪とで
かたまっている悪魔の子よ、
すべて正しいものの敵よ。
主のまっすぐな道を曲げることを止めないのか。

見よ、主のみ手がおまえの上に
及んでいる。おまえは盲になって、
当分、日の光が見えなくなるのだ」。
たちまち、かすみとやみとが彼に
かかったため、彼は手さぐりしながら、
手を引いてくれる人を捜しまわった。

総督はこの出来事を見て、
主の教にすっかり驚き、そして信じた。

 

And when they had gone through
the isle unto Paphos, they found a certain sorcerer,
a false prophet, a Jew, whose name was Barjesus:

Which was with the deputy of the country,
Sergius Paulus, a prudent man;
who called for Barnabas and Saul,
and desired to hear the word of God.

But Elymas the sorcerer
(for so is his name by interpretation)
withstood them, seeking to turn away
the deputy from the faith.

Then Saul, (who also is called Paul,)
filled with the Holy Ghost,
set his eyes on him,

And said, O full of all subtilty
and all mischief, thou child of the devil,
thou enemy of all righteousness,
wilt thou not cease to pervert
the right ways of the Lord?

And now, behold, the hand of the Lord
is upon thee, and thou
shalt be blind, not seeing the sun
for a season. And immediately
there fell on him a mist and a darkness;
and he went about seeking
some to lead him by the hand.

Then the deputy, when he saw
what was done, believed,
being astonished at
the doctrine of the Lord.

使徒行伝13:6-12

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