ある方の話
先日、透析の看護師さんからあるお話を伺った。随分前のことだが一人の透析患者さんが当院に来られた。何故かこの医院は他の病院で断られた人がやってくる駆け込み寺のような医院であるようだ。それにしても透析患者さんなど命に関わるのに病院側も追い出すことがあるのだと恐ろしくなった。確かに透析患者さんには感情的になりやすい人が多いし自分のような送迎係に対して明らかに奴隷のように見る視線を感じる。話を戻すが昔他の病院から当院に移って来た透析患者さんがなかなかの暴れん坊で興奮しやすいタイプの方だったという。誰に対しても当たり散らしており周りのスタッフもかなりご苦労されたようだった。この患者さんは生い立ちに恵まれず、両親から勘当され兄弟からはお金を騙し取られたことをきっかけに縁を切ったという。天涯孤独で自暴自棄になっている様子が見てとれたのでスタッフもイエス様の心で対応していたという。透析スタッフのリーダーはこの方の側で毎回讃美歌を流すようにしていたという。そのような献身的かつ愛に溢れた対応が実りこの方の態度がみるみるうちに変化して行ったという。この方は教会でバプテスマ(洗礼)を受けクリスチャンになった。それから程なくして亡くなられたそうだが最後まで周りの人に対する感謝の気持ちを忘れなかったという。
今日の話
今日は遠方の透析患者さんの送迎がある日なのでひと段落したところで外来患者さんの送迎を手伝った。はじめにふたりの方を送り医院に戻ると4人の方が待機していた。送りで4人となると結構悩む。方向が同じだったら良いのだがそううまくはいかない。次にどの順番で回るかをイメージしないといけない。道も覚えて来たがそれでもこういうシミュレーションは大の苦手である。どういうルートが良いかを上司に相談したところこの4人のうちのひとりだけを送ってほしいとのことであった。まだ3人残っているが上司がすぐに戻って3人を送りからoさんという一人の女性だけを送ってくれれば良いというのだ。少し要領を得なかったのでその上司に「何故ですか?何故ひとりだけ先に送って3人を残すのですか?」と聞いてみた。この上司は患者さんの人間関係なども全て把握しているので何か考えがあるのだと思い聞いてみた。上司が言うにはこのoさんは皆さんから距離を取られている人だそうで恐らく他の3人もoさんと同乗するのを嫌がると思う、とのことだった。事情を理解したので待合室にいるoさんに声をかけて「oさん、私がご自宅までお送りしますね」と声をかけて車に誘導した。いつも賑やかで、一人で喋っているoさんだが今日は一言も喋らず落ち込んでいる様子だった。恐らく4人が送迎バスを待っているのに自分だけ別便で送られる理由が本人にも何と無くわかったのだろう。実は自分もこのoさんの傍若無人なところ、横柄でデリカシーがないところが苦手なのだが自分自身も嫌われる存在だったのでとても同情的になった。やはりひとりでいるのは可哀想だな、と思った。次回は何か良い方法で周りの人と仲良く同乗出来ることを考えたいと思った。
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