沖縄時代の話

週末リフレッシュ計画

親しくさせていただいている牧師先生から電話をいただいた。近くに住んでいるが数ヶ月に1度のペースでしか会っていない。その先生と昔話をしていたら急に過去のことが懐かしくなった。沖縄の中学校で働いていた時、この牧師先生もチャプレンとして勤務されていた。聖書の教員をされ生徒の相談にもひとつひとつ丁寧に応じ厚い信頼を受ける牧師先生である。私も何かにつけてこの先生に相談したり未知なる沖縄のことを聞いたりしていた(この先生は沖縄出身)。教員同士は皆仲がよかったが特に気があったのはひとつ先輩のatsushi先生。中学時代からの付き合いで、男気がある一方でとても面白い、また天然の先生である。この先生とは生徒を連れて毎年「具志川島」と言う無人島(50年ほど前までは有人島)に、キャンプに行っていた。atsushi先生は、当時としては非常に珍しかったポータブルのナビゲーション装置を無人島キャンプのために買ったらしい。毎日練習と称して学校のキャンパス内で使用していた。今のGPSと違って制度も悪いし使い方がとにかく難しい。2週間ほど毎日練習していた。そしていよいよ無人島キャンプ当日。伊是名島(いぜなじま)から漁船で具志川島まで運んでもらうのだが、その伊是名島で急にatsushi先生が顔面蒼白になってこう言ってきた。「ない、忘れたんだと思う」。ナビを忘れたらしい。ナビがなくても地形は十分把握しているし迷うようなこともないのだが何故か本人はひどく落ち込んでいる。折角このための購入して何度も練習したのに当日に忘れたのだから落ち込むのも理解できるが、それにしても落ち込みすぎだ。atsushi先生とは無人島キャンプ以外にも色々なことを企画して楽しんでいた。その中でも忘れられないのが「週末リフレッシュ計画」だ。全寮制の学校の割にスタッフが通学制の人数程度しかいないのでどの先生も昼夜問わず働いている。それを使命と思っているから本人たちは平気なのだがそれでも疲れる。そこでこのatsushi先生と考えたのは教員を3名ずつのグループに分けて金曜の授業後から日曜の夜まで慶良間渡嘉敷島でゆっくり過ごしてリフレッシュしてくると言うツアー。3名の欠員なら他のスタッフでなんとか補える。校長教頭に相談したところ結構乗り気だったので、atsushi先生と自分のふたりで下見に行くことになった。自分は海を中心に下見を行った。ダイビングの機材を持って行き綺麗な渡嘉敷の海を堪能した。GTの囲まれて泳ぐ体験もでき幻想的だった。下見というより自分たちふたりが楽しむだけの旅となった。

計画変更

学校に戻り下見の一部始終を報告した。海で遊ぶことのほかに灰谷健次郎さんの家を訪問するツアーなども組み入れ、あとは自分のペースで楽しむプランを提案した。結構好評だったが慶良間まで行くのが大変と言う先生もいらしたので、1度全員で渡嘉敷に行くことにした。前述の牧師先生も勿論一緒である。夏休みになって成績処理もひと段落したところで、教職員全員で那覇から渡嘉敷島に渡った。ビーチで遊んだり木陰で昼寝をしたり綺麗なカフェで休んだりとのんびりした時間を過ごす事ができた。ダイビングツアーは2日目のオプショナルツアーとした。参加希望者は自分を含めて6名。自分以外は男性3名、女性2名だった。体験ダイビングとして申し込んだが自分はCカードを所有するダイバーという事でインストラクターは2名ついた。船でエントリーポイントまで行くので重たいタンクを背負って歩く必要がなく楽なダイビングである。3名の男性教員は先に準備ができたので船の周辺を泳ぎながら呼吸の練習やハンドシグナルを教えてもらっていた。女性は装備の装着に少し時間がかかっているようだった。残っているひとりのインストラクターが、私に女性教員のひとりをサポートして欲しいと言ってこられたのでそれに従ったがこれが命取りとなってしまった。

完全なる熱中症

自分は潜る気満々で誰よりも早く準備を整えてしまっていたが、そこで女性教員のサポートを、と言われたのでそれに従った。因みに自分のウェットスーツは厚さ5mm。内地では標準的な厚さだが沖縄の夏には少し厚い。3mmでもどうか?1mmでエントリーする人もいる中で5mmはかなりきついが自分はこれしかウエットスーツを持っていない。せめてそれを1度腰まで降ろしてサポートしていれば違っていたと思うが、すぐにエントリーするつもりだったのでしっかりスーツを着てウェイトもつけおまけにタンクも背負った状態で手伝った。やっと女性教員の準備ができた頃には全身汗だくで逆に寒気を感じるほどになっていた。絶対にオカシイ、と思い1度エントリーしたものの直ぐにインストラクターに言って船で休むことを伝えた。喉が乾いて仕方ない。船にあるアイスティーはみんなの分だがとにかく飲んだ。飲んでも飲んでも喉が乾く。耳に呼吸の音が響き気が遠くなって行く。これはまずい。少しでも体温を下げなくてはとウェットスーツを脱いで海に入った。が、直射日光で暑い。しかも海水の表面温度も高くこれではまずいと思い裸のままBCジャケットを着てタンクを背負ってとりあえず7mぐらいまで潜った。少し水温が低くなったので流されないように岩にしがみつきながらひたすら耐えた。汚い話で恐縮だが何度か嘔吐した。海の中で嘔吐すると結構面倒だ。いちいちレギュレーターを外して吐いて…。当然だが吐くと魚が集まってくる。そして目をつぶってじっと耐えていたら、いつの間にか海蛇に囲まれていた。ゾッとしたが彼らは基本的に人間を襲わない。本音は一匹でも自分を噛んで別の意味で楽にして欲しい、と思った。結局その後も脱水の症状はなかなか抜けずかなり苦労した。一晩寝たところで頭痛は残ったけど少し回復したのでその後の行程に支障はなかったが脱水症状の恐ろしい経験をした渡嘉敷ツアーだった。色々な事があったけどとても懐かしく楽しい思い出である。

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