サバイバルゲーム

勉強会のこと

今日も中学2年生と一緒に勉強する機会が与えられた。嬉しい限りである。今日も英語と数学の2教科を学んだ。英語は不定詞。不定詞の3つの用法、即ち名刺的、形容詞的、副詞的用法が分かることってそんなに大切なのだろうかと思う。意味を理解するときに「これは形容詞的用法だ」などと考えるだろうか。そんなことを一切意識しないで意味を捉えていると思う。こういうことにたくさんの時間を費やして来たから日本の英語教育は「会話できない英語」を学ぶ教育になってしまったのかもしれない。英語の後は数学を学んだ。数学は基礎力を確実に定着させるために2年生になって学んだ式の基本を最初から学ぶことにした。今日も式の計算をやったが、多くの生徒(高校生であっても)が間違える或いは苦手意識を持っている分数計算を試しにやってみた。1/4+1/3の様な問題である。彼女は少し困った様子だったがしばらく考えて2/7という答えを出した。

分数計算と学校教育

勿論これは誤答である。「惜しい。こうやって計算したくなるよね」と前置きをして分母を同じ数に揃える通分を説明した。途中から何と無く思い出した様で最小公倍数の見つけ方もわかり始めた。結局数分の解説で全てを理解しマスターすることができた。恐らく小学生の時にはもっと苦労して結局最後まで理解できなかったのかもしれない。が、今は理解できるのである。今日の分数計算を見て多くのことを考えさせられた。日本人はどこかサバイバルゲームをしている様に思えてならなかった。生まれたときからサバイバルゲームが始まる。先天的に能力的に劣っている人はその場で脱落。幼稚園、小学校と何度も何度もクリアすべき課題が与えられる。小学1年ではひらがなとカタカナを覚える。勿論その前から覚えている子はたくさんいる。小学2年では掛け算九九を覚える。これらを覚えられなかった子はサバイバルゲームの脱落者となる。一度も失敗しないで優秀な成績で全ての課題をクリアできた人に対して明るい将来が開かれる、そんなイメージを持ってしまう。中学生で分数計算ができないことはいけないことで脱落者なのだろうか?もっといえば誰が18歳で将来の方向性をはっきりさせないといけないと決めたのだろうか。そんなことを決めていない、と大人はいうかもしれないが社会は18歳では当然将来の方向性がはっきりしている前提で青年たちをみる。だからそうでない若者を見れば「遅れている」「脱落者」と評価してしまう。本当にそうなのだろうか。少なくとも自分が関わった多くの生徒たちは違っていた様に思う。一般的には「遅れている」と評される様な生徒たちもその後の人生を立派に切り開いている。決して脱落者などではない。

masaのこと

masaとは彼が小学生の時に知り合った。決して恵まれた環境で育ったわけではない。ご両親が離婚し母親に引き取られたmasaは再婚した父親から虐待され苦しい立場に置かれた。母親とは仲の良い虐待する義父のことを訴えることができず何年も我慢し続けた。結局母親が体のあざを見つけて虐待が判明しそのまま夫婦は別れた。masaは小さい頃からパイロットになりたいと思っていた。そのために必死に勉強したが成績は常に中の下、或いは下の上あたり。masaは試験が返却されるたびに私の家に来て泣いていた。「僕ってバカなんですかね?一生懸命勉強しているのに全然できないんです」と言っていた。勉強の方法、頭に定着する学習法を教え少しずつ成績は伸びたがパイロットを目指せるレベルではなかった。が、彼は夢を決して諦めずに努力した。また彼は熱心なクリスチャンで神様に対する篤い信仰を持っていた。留学し航空機のライセンスをひとつずつ取得していった。単発、双発。徐々にステップアップし日本に戻ってさらに訓練を積んだ。結局彼は不可能と思える夢を諦めることなく現実のものとしたのだ。現在は海外の航空会社で777を飛ばしている。パイロットがすごいと言っているのではない。追い続けた夢を現実のものにしたことが凄いと思っている。それこそmasaは高校でも小学校の勉強で抜けているところがあり「遅れている」生徒であり「脱落者」と評される人物であるかもしれない。が、結果をみれば決してそんなことはない。日本の教育、或いは教育現場の価値観は本当にこれで良いのだろうか?と思ってしまう。分数計算ができなかった中2の彼女に言いたい。「できないことがいくつあっても気にするな、人生まだ始まったばかりなんだから」。同様に社会や人を評価する人に言いたい。「できたこと、できなかったことで人を評価することが本当の評価ですか?その人の価値は存在ではないですか?人間の本質を評価できないあなたこそ哀れな人間と評価されてしまいますよ」と。

20210529礼拝 子ども 柴田照司

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