トー横

居場所

2年前の今頃、自分は広島市内のとある病院に入院していた。8月27日から5週間ほど入院していたのだが病名は「中等度うつ病エピソード」だった。10月に退院したが家に帰ったところ妻から「何故家に戻ってきた」と叱られた。家に戻ってくるなと言われたのだがそうは言っても行く宛がない。実家に戻ることも考えたが年老いた両親に心配をかけたくない一心で断念した。家にいれば「出ていけ」と言われ続け本当に苦しい日々が続いた。苦しさに耐えかねて広島市内まで行くのだが毎日ホテルに泊まるほどお金も無く、贅沢ができるときはネットカフェで、それが許されない時は駅で寝ていた。本当に惨めな日々だった。居場所のない苦しさ、寂しさは言葉に言い表せない。お陰様で今は出ていけと言われることはないひとりでの暮らしをしている。子どもの学費を稼ぐためにいるだけでこの土地や職場に特別な思入れがあるわけではない。できれば今日にでもここを去りたいと思っている。やはり孤独は寂しい。そのような境遇に置かれているが、もっと深刻なのが若者世代の居場所である。家庭環境の歪みや学校などの友達関係の理由から自分の居場所を求めて故郷を離れる若者が少なくないという。そのような若者世代の聖地となっているのが新宿歌舞伎町。「新宿東宝ビル」周辺、通称「トー横」が彼らの居場所になっている。自分のような世代にはあまり馴染みのない名前だがここは以前「コマ劇」があった場所である。そう言えばわかる世代の方も多いと思う。彼らは未成年でありながらも飲酒や喫煙は勿論のことドラッグなどにも手を染め一時の現実逃避に興じるという。また若い女の子でも風俗系の仕事をする人が多いため地下アイドルやホスト、またこのトー横の目ぼしい男子を飼うという。ホームレスの男性に暴行を加える子や5月にはトー横で知り合ったカップル(男18歳、女14歳)が近くのホテルから飛び降りるという悲惨な事件も起こっている。そしてここに集まる若者はコロナ以降更に増えているという。居場所がなくて、どこを探しても自分の居場所が見つからないのは本当に気の毒だし共感できる。

僕も授業を理解したい

教員時代、教頭をしながら生徒指導部の責任を負っていた。一般の高校に比べたら問題行動も可愛いものばかりである。が、問題行動を起こす生徒はそれぞれに戦っている。必ず彼らなりの叫びがある。その叫びをきちんと聴かなければこちらの話など決して届かない。何時間も何日もかけて心の叫びを聴き続ける。教員の仕事の殆どは「傾聴」である。問題行動を起こす生徒には色々なタイプや動機があるが半分ぐらいの生徒は「授業についていけない」ことを悩んでいる。昔、ある生徒の指導をしているときに「自分だって教室でお客さんとして座るのではなく、きちんと授業を理解できるようになりたい」と訴えてきた生徒がいた。「授業なんて、成績なんて関係ない」という態度をとっているが彼は授業を理解したかったのだ。彼だけではない。多くの生徒が勉強を理解したいのだ。問題行動の改善は「傾聴」、そして「主体的に学べるようになるまで寄り添う」ことにあると考えている。授業を理解することができれば、教室に居場所を獲得したことになる。ゴロツキ、不良といった色眼鏡で彼らを見る前に、若者に居場所を提供できない大人自身が自分を見なくてはいけない時がきていると思う。ただでさえコロナで子どもたちが夢を見にくくなっている。刹那的な生き方で今だけをみる若者に、将来にある希望や夢をどのように見せて行くかを真剣に考えなくてはいけない。

場所

イエスは、その場所にこられたとき、上を見あげて言われた、「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。そこでザアカイは急いでおりてきて、よろこんでイエスを迎え入れた。
ルカによる福音書19:5,6

イエスキリストがいる場所、それが本来いるべき居場所なのだと思う。トー横の若者たちに真の居場所が与えられることを祈るばかりである。

“日本一敷居の低い教会” 酒場で教会! 新宿ゴールデン街の夜

 

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