信頼の故
学校でも業者さんとの取引がある。安価なものは現金で購入するが高価なものになれば当然振込となる。中学、高校の机と椅子を一新したことがあったが総額1000万円を超える取引。またチャペルの床の張替えにもお金がかかった。食堂のテーブルと椅子を新調した際も300万円以上のお金が動いた。当然であるが全て振込で決済される。業者さんと学校との信頼を土台とした取引である。これが見知らぬもの同士の取引となると様子が違ってくる。良い例がネット通販。Amazonで商品を購入する際は先払いが基本となる。Yahoo!のオークションでも入金の連絡があってから出品者は商品を送る。信頼関係のないところには振込や書類ではなく実際に現金が動く。伝票などの書類で決済が済むという事は信頼の証である。
信頼されない関係
今から25年以上前であるが教員になってあまり時間が経たないうちに「音楽活動」という役割を校務分掌で与えられた。本校には聖歌隊や吹奏楽団、ハンドベルクワイアー、弦楽アンサンブルがあるが当時は聖歌隊と吹奏楽団しかなかった。このふたつの活動を支援するのが音楽活動の主な仕事だった。両方の総監督であるjunを支えその活動を影でサポートするのが役目だ。これらのグループは長期休暇(夏休み、冬休み)に演奏旅行をしていた。というより自分が音楽活動を始める前は演奏旅行の活動は行っていなかった。自分が高校生の頃にその様な活動があったがずっとやっていなかったので、演奏旅行経験者のjunと自分で相談してやってみようということになった。junは企画をしたりそれを実行するのが得意ではない。自分はどちらかというとそういうアレンジが好きなので役割分担をして演奏旅行を計画してみることにした。夏は吹奏楽団、冬は聖歌隊を引率して演奏旅行をすることにした。とりあえず吹奏楽団は楽器の運搬があり生徒の動きと楽器の動きの両方をアレンジしなくてはならないので初年度は冬の聖歌隊のみにした。東京、九州地区、沖縄地区を3年かけて回る様にしたのでその年は沖縄からはじめてみた。今の様に旅行会社に丸投げできる様な企画ではない。航空券や宿泊施設を予約するところから自分の仕事は始まる。総勢100名近くの移動になるので航空券をとるにも苦労したし、何と言っても苦労したのは宿泊施設である。3泊するのだがひとつのホテルで全員を収容できるところはあまりない。しかもできるだけ安価に済ませたいのでどうしてもホテルが2つに分かれてしまう。辺戸岬の方に泊まった時などは自分の部屋がなく1階にある居酒屋の座敷に寝たこともあった。苦労は多いが楽しみもたくさんある。色々な人と出会い交渉をしていくうちに沖縄では基地やキャンプに入れることが何度もあった。嘉手納基地のチャペルでのコンサートは本当に最高だった。話を戻すが初年度の沖縄演奏旅行、航空券は地元の空港なので認知されており振込みで対応してもらえたが沖縄でのホテルや移動のバスは振込では対応してもらえなかった。要するに信用がなかったのである。全て「現払い」でお願いしたいと言われた。学校も現払いと言って大金を仮払いしてくれるわけではない。しかも学校は演奏旅行など近年やっていないから内部的にも信頼されておらず仮払いは断られてしまった。仕方なくjunと自分の貯金を下ろして持っていくことになった。junは持病があり特定難病疾患と認知されていたので国から補助金が出ていた。そのお金を貯めていたらしく200万円ほどの現金があった。自分も貯金をかき集めて何とか150万円を作っていよいよ演奏旅行に出かけた。
信頼されないから現払い
沖縄の事情に詳しい方はわかるかも知れないが、観光立県である沖縄は自分たちで運転するマイクロバスのレンタカーがあまりない。最近は少し事情が変わってきたが当時は全くなかった。マイクロが借りられれば少しでも金額を抑えられる。逆に観光バスを親戚などで貸切にすることが多いのも沖縄の特徴である。シーミーなどの家族行事などには観光バスをチャーターする。自分たちもその様な感じで4日間バスをチャーターした。支払いは日払いで1日の運行が終わった時点でバスの中で精算する。この様なことをしたことがなかったのでとても新鮮な経験だった。ホテルも勿論現払い。最初の頃は空港近くにあるユースホステルを定宿にしていた。ここは4日分を先払い。スタッフは毎晩21時になると帰ってしまう。演奏会の都合で21時を過ぎて戻ってくることもあったがその時は植木鉢の下に自動ドアの鍵を隠しておいてくれる。毎日が未知なることの連続で結構楽しかった。が、やはり生徒の引率だけでも気を使うのにふたりで大金を持ち歩きながらの旅行は更に疲れた。
信頼に値するもの
信頼している人には自分を預けることができる。信頼している事柄には自分の全体重をかけることができる。「この電車は事故なく自分を目的地まで運んでくれる」と信頼するから電車に乗るのである。しかし、人間の世界にはその信頼が裏切られることが間々ある。信頼していた電車が事故を起こしたり、信頼していた運送会社が期日までに荷物を届けてくれなかったり、信頼していた人が不渡りを出すなど。しかし聖書に出てくる神様は契約の神、約束を守られる神様である。自分は現在「ヨハネの黙示録」と「ダニエル書」を並行して学んでいるが神様が約束を守り寸分違わず預言を成就されていることが分かる。この神様を信頼して神様にかけてみる人生…魅力を感じる。
彼は、神の約束を不信仰のゆえに
疑うようなことはせず、
かえって信仰によって強められ、
栄光を神に帰し、
神はその約束されたことを、
また成就することができると確信した。
He staggered not at the
promise of God through unbelief;
but was strong in faith,
giving glory to God;
And being fully persuaded that,
what he had promised,
he was able also to perform.
ローマ4:21,21